女子
女子では、絶対的な女王イリーナ・スルツカヤが引退してからというもの、女王不在の時期が続いている。
昨年優勝のクセニア・ドロニナは、病気により今シーズンは休養を余儀なくされている。NHK杯にも出場経験のあるアリーナ・マルチノワは、大人の表現力が身に付いたもののジャンプミスが相次いだ。
そんな中で弱冠12才の アデリーナ・ソトニコバ と エリザベータ・トクタミシェーバ がシニア選手を圧倒し、1、2位を独占した。
ソトニコバは、長い手足を活かした美しいスピンやスパイラル、そして質のいいジャンプを見せ、オリエンタルな雰囲気を持つ トクタミシェーバは、日本でもおなじみの映画「SAYURI」の音楽にあわせ、冒頭から三連続ジャンプなど高難度のジャンプをいくつも成功させた。両者とも、プログラム全体の完成度、難度としては不十分な部分もあるが、12才という点を考慮すれば、二人にとって十分な出来栄えであることは明らかであった。
また、「ロシアの星」と称され前評判の高かった13才 ポリーナ・シェリペン は、ショートプログラムでのミスが響いて6位に終わり、思うような結果が残せなかった。
今大会を見る限りでは、ようやくロシア女子にも低迷期を抜け出す光が見えてきたようだ。2014年ソチ五輪までにどこまで成長できるか楽しみである。
ペア
アイスダンスでは、優勝候補の ドムニナ・シャバリン組 が欠場し、ホフロワ・ノビツキー組 が、2位以下を20点近く引き離す得点にて優勝を飾った。先に行われたロシアカップでも ドムニナ・シャバリン組 をかわして逆転優勝を飾った ホフロワ・ノビツキー組。今シーズン実力を上げてきた二人はオリンピックの表彰台を狙う。
フリーダンスで「フラメンコ」を演じた リュブレバ・シェーファー組 が2位、NHK杯で来日した ゴルシェコバ・ブチコフ組 が3位。ゴルシェコバ・ブチコフ組 はまだ若いカップルだが落ち着きのある熟練された技術を持っている。
4位の ボブロワ・ソロビエフ組 は若さ溢れるスピーディな演技が特徴。ゴルシェコバ・ブチコフ組 と熾烈な3位争いを繰り広げたが、今回は ゴルシェコバ・ブチコフ組 に軍配が上がり4位に終わった。
ホフロワ・ノビツキー組 オリジナルダンス
男子シングル
男子では、セルゲイ・ヴォロノフ が二連覇を果たした。
公式練習では右足にやや不安があるように感じられたが、本番では昨年に引き続き情熱的なタンゴで魅了した。曲を理解し、自信を持って臨むこのプログラムは彼の代表的なプログラムの一つになるだろう。
昨シーズン世界ジュニアにて銀メダルを獲得した アルチョーム・ボロドゥリンは、ロシア男子の実力者 アンドレイ・ルタイ を抑え2位を獲得した。今シーズンよりシニアグランプリシリーズへも参戦し、まずまずの成績を収めている。この順位により初のヨーロッパ選手権の切符も手にした。
順位こそ7位であったが23才 デニス・リューシン の躍進にも注目したい。
昨年まではジャンプが安定せず滑ることに精いっぱいであったが、今シーズンはコーチを変え、身体も鍛えて難しいプログラムをこなせるようになった。
また、ジュニアで活躍している イワン・バリエフ は風邪のため、アレクサンドル・ウスペンスキー は股関節の怪我のため、それぞれ欠場した。
セルゲイ・ヴォロノフのフリー
ペア
ペアでは、二強である川口 悠子・スミルノフ組 と ムホルトバ・トランコフ組 の一騎打ちとなった。
両者とも国際大会で上位に入る実力があるため、どちらが勝ってもおかしくない状況であったが、何よりも国内大会での優勝を目標としていた トランコフ の気迫が勝り、ショートプログラムでは 川口・スミルノフ組 を抑えて首位に立った。
しかしながらフリーでは些細なミスが響き、最終的に 川口・スミルノフ組 の逆転二連覇を許す結果となった。川口・スミルノフ組の強さは、女性 川口 の安定感のあるジャンプ、体の柔らかさだ。川口はロシアの市民権を得て、ロシア代表としてバンクーバーを目指す。
3位には、今シーズンジュニアグランプリファイナルで優勝した イリューシキナ・マイスラーゼ組。ペアもジュニア選手が順調に育っている。
川口・スミルノフ組