2015豊田国際体操競技大会
12月12日~13日 愛知県豊田市・スカイホール豊田
世界金・白井健三の貪欲さ、
床新技『伸身リ・ジョンソン』
最初の種目から大きなハイライトがやってきた。世界選手権種目別床の金メダリスト白井健三(日本体育大学)が新技に挑戦した。従来の「リ・ジョンソン」(後方抱え込み2回宙返り3回ひねり)を伸身姿勢で行う大技、決まれば『シライ』の名前の付く最高難度H難度の可能性を持つ注目の新技だ。
「世界選手権、全日本といい床の演技ができていて、これ以上Dスコア(技の難度点)7.6をやっていても上が目指せないので、少し新しい技も入れてモチベーションを上げてみようかなと思った」と19歳の金メダリストはどこまでも貪欲だった。
今大会でこの技への新技申請は計3名が行っていたが、本番で決めることができたのはこの男、白井健三のみだった。
「今までできたことがないくらい上手く伸身リ・ジョンソンができてしまって、着地が判らなくなった。びっくりした」と『調子が良すぎて』、予想外に着地姿勢が高くなり勢い余ってラインオーバー(減点0.3)になったが、着地自体は成功。この大会ではH難度の認定を受けることができた。ラインオーバーは世界選手権や五輪では大過失と変わらないミス、としながらも、積極的に攻める姿勢を貫き、その達成感からガッツポーズで観客に応えた。優勝した世界選手権での構成をさらに上げたDスコア7.7の構成で、ライン減点がありながらも15.700点をマークし、期待通りの優勝を果たした。
「満足せずに新しい可能性を見つけ出していきたい。チャンピオンとしてもっと上を目指して挑みたい」と目を輝かせていた。
~ ユーラシアスポーツ8号より抜粋 ~
< Text / Photo Miwa MORI>